主にInstagramのメリットと運用ポイントをご紹介いたします!
近年、障害者福祉や児童福祉でもSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用した集客が注目されています。放課後等デイサービス(放デイ)も例外ではなく、Instagram(インスタグラム)、X(旧Twitter)といったSNSを上手に使うことで、施設の魅力発信や認知度向上に繋げている事業所が増えています。
本記事では、放デイ事業者に向けてSNS集客のメリット・デメリットを整理し、中でも特に利用者獲得に効果的と言われるInstagramの活用方法を詳しく紹介します。フォロワーを増やし問い合わせを促進するコツや、実際にSNS運用で成功した事例、そして注意すべきポイントまで網羅します。SNSが苦手な方でも始めやすいように解説しますので、ぜひ参考にしてください。
SNS集客のメリット・デメリット
SNS活用のメリット
- 無料で情報発信できる:アカウント作成から投稿まで基本的に費用はかかりません(広告出稿しない限り)。限られた広告予算でも始められるのがSNSの強みです。
- 拡散力がある:魅力的な投稿は様々な方たちにシェアされ、フォロワーのフォロワー……と雪だるま式に表示回数を増やせる可能性があります。口コミのデジタル版とも言え、多くの人にリーチできます。
- 親近感・信頼感を醸成できる:日々の活動の様子やスタッフの人柄が伝わる投稿を重ねることで、閲覧者との距離が縮まります。「この放デイは〇〇で安心そう」といった印象を持ってもらいやすくなりなります。
- フィードバックを得られる:投稿へのコメントやリアクションから、保護者の反応を伺うことができます。「この内容に興味を持っている」「このコンテンツには興味がなさそう」など生の声を集客に活かせます。
SNS活用のデメリット
- 運用に手間と時間がかかる:定期的な投稿内容や画像の作成、コメント返信、フォロワーとの交流など、SNS運用には地道な労力が必要です。スタッフの負担になる可能性があります。
- 即効性は低い:フォロワーが増え信頼を築くまで時間がかかります。一度投稿したからといってすぐ問い合わせが殺到するわけではありません。継続が大前提となります。
- 炎上などの情報管理リスク:公開の場である以上、思わぬ誤解やネガティブコメントがつく可能性もあります。不適切な発言や個人情報漏えいなど起こさないよう、慎重な運用が求められます。
- 利用者全員に届くわけではない:SNSを利用していない保護者層には当然ながら情報が届きません。集客ターゲットの属性によっては効果が偏ることもあります。
以上を踏まえると、SNSでの放デイ集客は「低コストで始められるが継続と工夫が必要」「評判管理も含めた丁寧な対応がいる」と言えます。では、これらを踏まえたうえで具体的にInstagram活用法を見ていきましょう。
Instagram運用の基本と投稿戦略
数あるSNSの中でも、放課後等デイサービスに特に相性が良いと言われるのがInstagram(インスタグラム)です。
写真や動画メインで視覚的に訴求でき、保護者世代(20~40代)女性の利用率が高いことが理由として挙げられます。ここではInstagram運用の基本ステップを解説します。
アカウント開設とプロフィール設定
まずはInstagramのビジネスアカウントを開設します。既に個人アカウントを持っている場合でも、事業所専用のビジネスアカウントを新たに作成しましょう。
- ユーザーネーム:事業所名または分かりやすい略称にします(例:「@hoday_osaka」など)。
- プロフィール写真:事業所のロゴや外観写真、シンボルとなるものを設定します。一目でそれと分かる画像にしましょう。
- プロフィール自己紹介文:150文字以内で事業所の紹介を書きます。「◯◯市の放課後等デイサービス」「発達障害のある小学生対象」「〇〇支援に力を入れております」など、アピールポイントと連絡方法を簡潔にまとめます。ホームページへのリンクは必ず設定するのが吉です。
インスタグラムのビジネスアカウントとは?
Instagramビジネスアカウントとは企業・法人向けのInstagramのアカウントタイプです。
アカウント作成時にデフォルトで設定されている「個人アカウント」では利用できない、企業がInstagramをビジネス活用する上で便利な機能が揃っています。企業や店舗がマーケティングや集客などの目的でInstagramを活用する場合はビジネスアカウントに切り替えることをおすすめします。
Instagram公式のヘルプセンターより「 Instagramでビジネスアカウントを設定する方法 」が確認できます。
投稿コンテンツの計画
次に、どんな内容を投稿するか計画を立てます。以下は放デイのInstagram定番ネタです。
- 日々の活動紹介:工作中の様子、運動遊び、学習支援の風景、おやつタイム、散歩など。子ども達の表情がわかる写真(※顔出しは避け、後ろ姿や手元など工夫)を添えて、「今日は○○公園に行って春を満喫しました!」など簡単なコメントを付けます。楽しそうな雰囲気が伝わる投稿は保護者に好評でよく閲覧されます。
- イベント報告:季節行事(七夕やクリスマスなど)の様子、誕生日会や遠足など特別イベントの写真。調理実習や手作りの飾りや作品も映えるので積極的に載せましょう。
- 施設・設備紹介:施設内の写真(感覚統合遊具や普段ランドセルを置いている場所など)を簡単に紹介します。「HPには掲載していないが、こんな設備もあるんですよ!」というアピールにより親近感を与える一つの要素になります。
- スタッフ紹介(リレー紹介):スタッフの人柄を伝えるシリーズ企画もおすすめです。順番にスタッフが趣味や特技、メッセージを投稿することで親近感が湧きます。「児発管の○○です。実はサッカーが得意で子ども達ともよくボール蹴ってます!」など。
- 療育豆知識や子育てヒント:専門家として、簡単な発達支援のコツや遊びアイデアをイラストや写真付きで紹介するのも有益です。保護者の役に立つ情報は読了・保存・シェアされやすく、フォロワー以外にも届きやすくなります。
投稿頻度は無理のない範囲で構いません。理想は週に複数回投稿ですが、難しければ週1回でもOKです。重要なのは継続することです。最初に張り切りすぎて疲れて止めてしまっては意味がないので、チームで役割分担しながらInstagram運用を続けましょう。
ハッシュタグと文章の工夫
Instagramではハッシュタグ(#)を活用すると、興味関心のあるユーザーに発見されやすくなります。ハッシュタグは1つのフィード投稿に30個まで掲載できますが、Meta社は5個掲載を推奨しています。多すぎるとシンプルに読みにくいので個数を絞ります。
ハッシュタグとは?
ハッシュタグとは、SNSの投稿やコメントに載せる「#」から始まるキーワードのこと。Instagramだけでなく、X(旧Twitter)やYouTubeなどのSNSでも使用できます。
ハッシュタグをクリックすると、同じハッシュタグが使われている投稿が一覧になって表示されるため、グルーピングのような活用をすることもできます。
Instagramハッシュタグの基本
ハッシュタグは商品カテゴリーや商品名、場所、略語などさまざまなハッシュタグがあり、数字や絵文字も使用できます。
表記の仕方は、半角や全角、漢字、かななどがあり、それぞれで別のハッシュタグとして認識されます。使用する際は、各表記でどのくらい投稿数があるのか、数を確認しておくのもポイントです(英数の大文字と小文字は同じハッシュタグとして認識されます)。
ハッシュタグの重要性
Instagramにおいて、ハッシュタグはなぜ重要なのでしょうか?多くのアカウントや投稿があふれるInstagramで目にとまるには、ユーザーの流入導線を意識したアカウント運用が求められます。投稿への流入導線は、広告を除くと「タイムライン」「発見タブ」「検索」「リールタブ」の4種類あります。
「発見タブ」や「リールタブ」で好きなものや興味のあるものに関する投稿を見たり、「検索」にキーワードやハッシュタグを入力して調べたりします。特に日本のユーザーによるハッシュタグ検索はグローバル平均の5倍と多いことから(※1)、情報収集の際によく使われる傾向にあります。
また、Google日本法人は、日本独自の新しい検索機能として「ハッシュタグ検索」を検索結果に搭載しております。これは、日本特有の「最新のトレンドや関心のあるトピックについてより深く知りたい」というニーズに対応するために開発された機能です。
ハッシュタグは、投稿をターゲットに届けるための手法の1つです。魅力的なコンテンツをターゲットに見てもらうためにも、ハッシュタグを適切に選びましょう。
※1:Meta社「INSTAGRAM ORGANIC 2021 PLAYBOOK INSTAGRAMアカウント運用成功のための10カ条」掲載(2020年10月時点)
キャプション(投稿本文)は長すぎず短すぎず、2~3文程度で伝えましょう。絵文字を適度に使うと柔らかい印象になります。ただし専門性を伝える投稿では真面目な口調でも構いません。文末に「お気軽にDMください」「詳しくはプロフィールのリンクからホームページへ👉」など、行動を促す一言を添えるのも効果的です。
フォロワーを増やし問い合わせを増やすコツ
運用に慣れてきたら、より効果的にフォロワー数を増やし問い合わせに繋げる施策を考えます。ただ単に数を追うより、地元の潜在利用者にフォローしてもらうことが重要です。そのためのポイントを紹介します。
- プロフィールや投稿で地域名を強調
- フォローキャンペーンの実施
- ストーリーズやライブ配信の活用
- 他媒体との連携
- 適切な投稿時間
- 広告の活用
以上のような取り組みを続けていくと、徐々にフォロワーが増え、Instagram経由の問い合わせも発生する確率が高まります。「Instagramをいつも見ています」という見学希望の連絡が来たら大成功です!
SNS発信で利用希望者が増えた放デイ
とある放課後等デイサービスが、わずか半年間の積極的なInstagram運用を通じて、驚くべき成果を上げました。主な集客経路であったホームページからの問い合わせを凌駕し、Instagram経由の相談が多数を占めるようになったという事実は、現代における情報発信の特徴を示しております。
日々の何気ない出来事やスタッフの表情などを、親しみやすい要素でストーリーズを通じて発信し、「明るく楽しい雰囲気」を巧みに醸し出したことにあります。この丁寧な情報発信は、フォロワー以外のユーザーにも共感を呼び、制作したリール動画は月間3万人以上という驚異的なリーチ数を記録するまでに成長しました。
特筆すべきは、この事業所では①児発管や経営者自身も積極的に動画に出演し、②スタッフ全員が一丸となってSNS運用に取り組んだ、地域の飲食やサービス店とのコラボ動画を積極的に採用した点です。チーム全体で情報発信を推進する姿勢が、共感と信頼を生み出し、成功へと導いたのかもしれません。地域に根差した事業者がSNSを効果的に活用し、顧客との新たな関係性を構築するための示唆に富んだモデルケースと言えるでしょう。
SNS運用上の注意点
運用上の注意点
成功事例の裏には、いくつか注意すべきポイントもあります。以下にSNS運用時の留意事項をまとめます。
- 利用者のプライバシー保護:子ども達の顔や名前、個人が特定できる情報は基本的に公開しないようにします。写真は後ろ姿や手元、作品のみなど工夫し、利用契約時に保護者から掲載許可を得ることが望ましいです。
- ネガティブコメントへの対応:万一クレーム的なコメントがついた場合も、決して感情的に反論せず冷静に事実関係を説明するか、一旦スルーして直接連絡を取るなどの対応を検討します。下手にコメント欄で論争するとイメージダウンに繋がります。悪質な荒らしであればコメント削除やブロックも必要です。
- 発信内容のチェック体制:投稿前にスタッフ間で内容を複数回チェックし、不適切な表現や誤字脱字がないか確認しましょう。特に障害や支援に関する表現は慎重に。機微なエピソードを載せる際もプライバシーに配慮した言い換えが必要です。
- 公私混同しない:事業所アカウントでは、政治・宗教的な発言やスタッフ個人のプライベート投稿は避けます。あくまで事業所のブランディングに沿った情報発信に徹しましょう。
- 情報の正確性:サービス内容や支援実績など事実に基づいた情報を発信します。誇大表現や根拠のないアドバイスは信頼を損ねますので注意しましょう。
SNSで放課後等デイサービスの魅力を発信しよう!
SNS(特にInstagram)は、放課後等デイサービスの雰囲気や日常の魅力をリアルタイムに発信できるツールです。うまく活用すれば、見ている方へ安心感を与え、新たな利用者獲得に繋げることができます。
一方で継続的な運用と慎重な情報管理が必要ですが、本記事で述べたポイントやデメリットを踏まえて計画的に進めれば、アカウントが少しずつ成長していきます。 はじめはフォロワー数が少なくても気にする必要はありません。大切なのは「誰に届いているか」です。たとえ10人でも、その中に利用検討中の保護者が1人いれば十分意味があります。コツコツと良質な情報発信を続け、信頼できるアカウントとして成長させてみてください!
最後に、SNS集客はあくまで放デイ集客における全体戦略の一部です。ホームページやチラシ、オフライン施策など他の集客施策とも連動させ、相乗効果を狙いましょう。SNSで興味を持った人がホームページで詳細を見て問い合わせする!、といった流れが理想的です。そのためにも、SNSと他媒体をうまく組み合わせた情報発信を心がけてみて下さい。きっとめぐりめぐって、きっと新しいご縁となって返ってくるはずです。